京都大学の元教授である林愛明氏の論文にコピペや棒グラフの捏造・改ざんなどが新たに4つの論文で発覚したとのことで話題になっています。
2021年9月、4つの論文での捏造改ざんの発覚を受け、京大は林氏に論文の撤回を求めるとともに、28日付で懲戒解雇相当とする処分を出したとのことですが、
実のところ・・・すでに林愛明氏は京大を辞職されています。
ニュースを読むと、一見、今回発覚した捏造改ざんにより林愛明氏を懲戒処分をすることになったと理解してしまいますが・・・すでに退職されているとなると、処分しようもなさそうですし、このまま論文撤回もトンズラされそうですよね・・
すでに中国に帰っている可能性もありますし・・・
ということで今回は林愛明氏の論文捏造に関しての京都大学の対応や、林愛明氏の退職金、現在の所在について調査してみました。
林愛明氏の論文捏造ニュースのあらまし時系列

林元教授は、5年前に発表した別の熊本地震に関する論文で、改ざんなどの不正が見つかっており、2019年にニュースにもなり、京都大学より定職一年の懲戒処分を受け、去年、2020年に辞職しています。
ざっくり林愛明氏の論文捏造事件を時系列でまとめると以下のようになります。

- 2019年4月…京都大学理学研究科に所属していた林愛明元教授の論文に不正の疑いがあるとの通報を受け、調査を行う
- 同年…2016年に発表した別の熊本地震関連の論文に研究不正が発覚
- 同年…京大より停職1年の懲戒処分を受ける
- 2020年…定職処分を受けた後、京大を退職(辞職)
- 2021年9月…17年から18年に英科学誌などに発表した、熊本地震で現れた断層や亀裂を解析した論文4本で捏造改ざんを認定
- 論文の撤回を勧告しているが、これまでに反応はない
単純に、2019年に不正が発覚した時点でなぜ、解雇などの処分にしなかったのか、京大の対応に??(はてな)が浮かびますよね・・・
なぜ2019年は退職一年という処分で済んだのか?

2019に京都大学が下した「停職一年という懲戒処分」の理由について調べると・・・
ざっくりというとこのようになります
- 本人が「明らかに単純な作図ミス」による「ケアレスミス」と主張(意図的な不正を否定)
- 京都大学は意図的な不正かどうかの判断ができなかった
(故意によるものではないと、根拠を持って明らかにした場合は不正行為にならない) - が、改ざんと盗用を認定し、1年の停職という懲戒処分にした。
とのこと。
それに対し、今回2021年の9月の報道では
「京大は、共著者への聞き取りなどから、林元教授が捏造や改ざんを実行したと判断。データを自身の学説に沿うようにする意図があったとみている。」
とあるので、このように不正が確実なものとなるまでは解雇もできない状況だったのかもしれません。(個人的には甘いなあ・・・白か黒か判断つかないのもよくなかったな、と2019年の調査に対して甘さを感じました)
文言によると、2019年のニュースでは
4つの図で改ざん・盗用を認定

故意かどうかの判断がつかず、「大学の信用を傷つけ損害を与えた」として停職1年間の処分

と語られています。
改ざんと盗用が認定できていても、判断が出来ないということで、懲戒処分で済んだと言えます。
もっと調査が進み、「判断」をできていればトンズラされずに済んだかもしれないですね・・・
退職金は払われているのか?

林愛明さんは処分後に辞職をしたそうなのですが、この時懲戒解雇処分で退職した訳ではなかったので、おそらく退職金が払われたのではないかと思われます。
その場合、以下の記事を参考にすると、2000万近くはもらったのではないか?と思われます。
京都大学のように、「1年以上10年以下」、「11年以上25年以下」、「26年以上34年以下」、「35年以上」といったように勤続年数が区切られて退職金の金額が設定されていることもあります。
https://careergarden.jp/daigakukyoujyu/taishokukin/
勤続年数の長さに加え、教授としてもらえる給料の最大額(最高俸給月額)をもらって退職を迎えた人が、最も高い退職金を得られるといえます。
大学によって異なりますが、3000万円程度、あるいはそれ以上の退職金をもらうことが多いようです。
退職した人に懲戒解雇相当の処分て何?時すでに遅し!?林愛明はどこに?

今回のニュースは、すでに京都大学を退職されている林愛明さんに対して、京都大学が懲戒解雇相当とする処分を出したとのことですが、詳しい内容はわかりません。
まず退職後に遡って懲戒処分ができるかという点ですが、原則として退職し雇用関係が終了している者に対し、懲戒解雇処分の意思表示をしても無効となります。
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_318
とあり、退職後に懲戒処分をすることは難しそうですが、
最悪、あげてしまった退職金を取り戻すことはできるようです。
既に退職金を支給済の場合は、不当利得(民法第703条、第704条)として、不当利得返還請求権を行使することになります。尚、この請求権は10年間で消滅します。(民法第167条第1項)
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_318
今回不正の判断により、京都大学側は林愛明氏に懲戒解雇相当の処分を出したようなので
もしかしたらその内容は、退職金の巻き戻しや、損害賠償などかもしれません。
とりあえず、林愛明氏は、今の所やり取りに応じていないようなので、すんなり進むとは思い難い・・・
調査にも応じてもらえなかったそうですし、論文の撤回要請にも反応してもらえてないようなので、今後のやり取りは難しいのかな・・・すでに中国にトンズラしている可能性が高いですね・・・
最後に・林愛明のキャリアと捏造の内容まとめ

【林元教授らが17年から18年に英科学誌などに発表した、熊本地震で現れた断層や亀裂を解析した論文4本に関する捏造改ざん】
・地図上で亀裂の位置を示した点の集まりを大量にコピー・アンド・ペースト
・棒グラフの形を書き換えたりするなどの捏造や改ざん
・論文4本で計37カ所発覚。
林 愛明(りん あいみん、りん あいめい)
誕生日:1958年12月
出身:中国福建省福清市出身
国籍 :日本
研究分野: 構造地質学
出身校:南京大学、東京大学大学院
中国の文化大革命末期の上山下郷運動により、農村に下放され3年半に渡って、農作業と農村生活を経験
1978年に中国全国大学統一入学試験を受けて南京大学地質学系に入学
1982年に卒後後、中国国家地震局福建省地震局に勤務
1986年1月に日本留学し、東京大学大学院にて修士・博士課程を修了、理学修士・博士学位を取得
【教授職の来歴】
・神戸大学
・静岡大学創造科学技術大学院
・プリンストン大学
・京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻
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