ゴルゴ13の生みの親、作者「さいとう・たかを」さんが84歳ですい臓がんにて逝去されました。
ゴルゴ13はさいとうたかを先生の亡くなった後も続くとのことで、改めてゴルゴ13の制作スタイルや制作システムについて調査しました!
そこに流れるさいとうたかをの哲学がすごかったので是非シェアさせてください!
「ゴルゴ13」はチームで成り立っている=だから無くならない
………だが、物語は続く。 pic.twitter.com/g5y6jkzGFZ
— ビッグコミック編集部 (@bigcomic_mg) September 29, 2021
今回、さいとう・たかを先生の逝去の報道には
『ゴルゴ13』の連載は、ビッグコミック編集部によると「さいとう先生のご遺志のもと、スタッフと編集部協力のうえ、今後も継続する予定です」としている。
とあります。
作者が逝去された後も漫画が続くというのは、一般的な概念にはないものだと思うのですが、
「さいとう・たかを」さんは作品制作の分業を進め、部門を設けるなどして、日本の漫画会において革新的な劇画制作システムを作られたお方です。
「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いていってほしい」とかねてより話していたさいとうたかをさんですので、小学館も、「さいとう先生のご遺志のもと、スタッフと編集部協力のうえ、今後も継続する予定」「大切な作品。これからも新作を続ける」と話されているようです。
さいとうたかを先生のチームでの制作と分業の様子については、誤解されていることもあるようなので、あらためて制作に隠れた思いや哲学などをリサーチしました。
確か浦沢直樹の漫勉か何かでゴルゴ13回があって、それ見た当時は「あ、さいとうたかをってゴルゴにだけペン入れして後はスタッフ任せなのか…まぁ歳が歳だもんな…」って思ってたんだけど、それがゴルゴ13という作品を絶やさない為のシステムだと今分かって「か、かっけぇ…」ってなってる
— 鳩麦 (@hatomugi_x) September 29, 2021
すると、「さいとう・プロダクション」として分業制で漫画を捜索することの背景には深い洞察と哲学がありました!
「ゴルゴ13」をチームで運営するわけは?そこに流れるさいとうたかをの哲学がすごい!
十年単位の以前からゴルゴ13は分業化されていて「さいとうたかを先生は作っていない」という話を聞いてはいたけど、プロデュースしてプロダクションで制作という体制に移行していたんだな…
— Fnil (@Fnil_sh) September 29, 2021
自分が居なくなってもゴルゴ13の話は違和感なく作り続けることができるって漫画として凄いシステムだぞ…
ほんとにね、作者がいなくなってもキャラクターが生きていってまた違う物語が続くというのは、本当に稀有なことですよね。それほどまでの広がりのある命が生まれたということ。
— すぐやる末次由紀ちはやふる48巻新春発売! (@yuyu2000_0908) September 29, 2021
「金を残す、仕事を残す、人を残す」後ろに行くほど偉大な仕事と言われるけど、さいとうたかを先生全部じゃないですか。
さいとうたかを先生のとられた分業制は、漫画制作が忙しくなってから考えたことなのではなく、なんと漫画の世界に入るころからすでに頭の中にあったようです。
漫画の世界に入るとき、「絶対に一人ではできない」と思った「さいとう・たかを」さん、その理由には、漫画がドラマと絵のふたつの要素で成り立っていることがありました。
「ドラマを考える才能と絵を描く才能というのは、まったく別の才能でしょ」と語るさいとうたかをさん。全てにおいて才能をもった人材は数少ないので、そレを待っていたら業界が先細る。
https://www.news-postseven.com/archives/20181127_804505.html?DETAIL
そうかんがえ、チームでやることで作業効率もあげるとともに、スタッフの入れ替えやあたらしい空気や外部の案をも取り入れることで、漫画のマンネリ化を防ぎながら「ゴルゴ13」をやってこられたとのこと。
それでも長い間右腕としてチームで活躍してくれたスタッフを失うことは辛かったようで、先に亡くなられたスタッフの方への思いも深く持っているようです。

「さいとう・たかを」さんは漫画をクリエイトする社長兼プロデューサーだったのですね。
どんな仕事もそうですが、たったひとりでできる仕事などありません。どんなチームを組むか、どうチームをマネジメントするか。どんな仕事でも、それが成功の秘訣ではないでしょうか。
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さいとう・たかをさんはバランス、中庸の達人
さいとうたかをさんは自らのクリエイティブについてこう語っています。
私の中にも、他人には言えない思いがたくさんある。子どもの頃から、人が考えないようなことをたくさん考えてきました。でもそれをそのまま作品にしたら、絶対、ウケないであろうことがわかっている。読者もそれを待ち望んでいない。だからこの世界に入って63年、ずっと自分を抑えている。そうやって生き延びてきた。ペンネームの「さいとう・たかを」は別人格。自分を抑えるためにつけた便宜上の名前。
https://www.news-postseven.com/archives/20181127_804505.html/3
さいとうたかをさんの作品がヒットするのにはこういったわけがあったのですね。
自分のエゴで作品作りをしているのではなく、世の中の人や作品を見る人の気持ちや需要にたった作品作りをされているということですので、漫画という表現や文化の世界に、しっかりとビジネス的感覚、マーケティングの感覚、そして人に喜ばれることを大事にしているという感覚が伝わってきます。
言ってみれば車の両輪かもしれない。ゴルゴ的な部分が自分の中にある価値観だとすると、それだけではダメで、世の中の考え方も見ていかなければなりません。自分の価値観と世間の価値観の両方の車輪があって、ようやくバランスが取れる。
https://www.news-postseven.com/archives/20181127_804505.html/3
やはり、成功されている方は社会のこと世の中のことをおざなりにせず真摯に向き合っているのだな、と新たな視点をいただきました。
そんなこんなでさいとう・たかをさんの哲学をまとめると・・・
- 独りよがりの作品をつくらない
- 一人で作品を作ることにこだわらず、自分以外の要素(才能や知恵)を作品作りに生かすことで天才でしか到達できないステージを具現化する。
- 人は一人では生きていけない。
- 社会とのバランスをとりながら良い作品を作る。
- 自分の価値観と世間の価値観のすりあわせをする。
- 読者のことを考えた作品作りをする。
さいとう・たかをのプロフィール&経歴
ゴルゴ13大好きな作品でした。未完で終わるのは悲しいけど…高齢ながらいつも元気で漫画を描いておられ、連載休止することなく素晴らしい作品をありがとうございました。さいとうたかを先生ゆっくりお休み下さい。ご冥福をお祈りします。 pic.twitter.com/eJ6sGFuzyF
— マキオ (@Makio0001) September 29, 2021
さいとう・たかを
1936年11月3日生まれ。
1955年に『空気男爵』で漫画家デビュー。大阪で活動
1960年に『台風五郎』が大ヒット。
東京にて「さいとう・プロダクション」を設立。
作品制作における分業化をはかり、脚本部門を設けるなどして劇画制作システムを確立した。
・『ゴルゴ13』は、1968年から連載がはじまり、連載50年を超える
・他の有名作品は…『鬼平犯科帳』『影狩り』『仕掛け人 梅安』『無用ノ介』『サバイバル』など
まとめ
いかがでしたか?
私はさいとうたかをさんが商業的な主義で漫画を分業して大量生産されているのかと思っていましたが、違ったようです。
もちろん作品の生産性の向上も趣旨にはありますが、人の才能を生かしあい、一人ではいけない境地や作品作りをするという、非常に柔軟性の高いお方で、エゴに打ち勝った方だなと思いました。
最近の表現は自分をあけっぴろげに表すことがよしなのかな?と思いますが、やはり見る人聞く人あっての表現や文化ですので、作品の向こう側にいる人のことを常に考えていた「さいとう・たかを」さんの謙虚でハートフルな人柄に、亡くなられた後ですがファンになりました。尊敬の一言です!
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