こんにちは、カンブリア宮殿に出演された佐藤可士和さん。国立新美術館、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブンジャパン、今治タオルのロゴデザインやブランドクリエイティブディレクションや有田焼創業400年事業「ARITA 400project」「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど多岐にわたるクリエイティブを自身のオフィスSAMURAIで繰り広げています。そんな佐藤可士和さんのもとで働きたいと思っている方、たくさんいるだろうなと思います。
今回は佐藤可士和さんのインタビューを読み漁り、SAMURAIの求める人物像、どんな人を採用したいと思っているのか、実際の採用はどんな感じなのかなどをSAMURAIで働きたい人に向けて情報をまとめて見ました。
佐藤可士和・SAMURAIの採用とスタッフ体制
佐藤可士和・SAMURAIの採用方法

基本的には紹介だそうです。ただ、毎年インターンを2、3名採用されている模様。
最初は佐藤可士和さんと、奥さんの悦子さんが採用を担当していたそうですが、現在はスタッフに任せているとのこと。
石川は僕が博報堂時代に一緒に仕事をしたデザイン事務所に在籍していて、糟谷は石川の元同僚でした。もう1名は僕が講師をしていたデザイン専門学校の先生からの推薦、あとの2名はインターンから社員になりました。ただ、毎年インターンを2、3名ずつ採用しているなかで、この10年ぐらいの間でそのうちの2名ということだから、非常に優秀だったということです
引用:サイボウズ
佐藤可士和・SAMURAIのスタッフ体制
SAMURAIは役割分担のはっきりした少人数体制で構成されているとのこと。2015年の記事を参考にスタッフ体制をまとめました。
【SAMURAIの経営】
・佐藤可士和=代表&クリエイティブディレクター(各プロジェクトの全体を統括)
・佐藤悦子(妻)=マネージャー
【スタッフメンバー構成】
・アートディレクター部門(チーフ石川耕さん・糟谷義人さんをはじめ5名)
・マネジメント部門(佐藤悦子さん含め2名・完全にマネジメント専任)
・インターンが2名
佐藤可士和・SAMURAIの採用枠は?
現在はどうかわかりませんが、人数をたくさん増やしたいという思いはなさそうです。
可士和:人数的にはそんなに増やしたくはないですね。なるべくシンプルに……今、かなりベストな状態だと思っています。
引用:サイボウズ
タスクが多くなっても、物理的に一年365日、1日は24時間という制限の中で、どう仕事をするか、仕事の進め方をアップデートすることでこなせるようになるという佐藤可士和さん。仕事が増えたから人数を増やそうという短絡的な考え方ではないのでSAMURAIで働くことは狭き門ですね。
佐藤可士和・SAMURAIの特徴

ただの受注して制作するだけではない
クライアントの望むものを作って終わりという従来の形ではなく、クリエイティブの役割がブランディングや商品開発、企業理念の整理まで関わることがあるそうです。それが佐藤可士和のオフィスSAMURAIが世間から求められていることなのでしょう。
企業のコンセプト設計、ブランディングからデザインしていく、もはやコンサルに近いようです。相手の持っているものや目的、願い、アイデアを最大限に引き出し、整理し方向付ける、ディスカッション能力がかなり必要な仕事を担っているようです。
今後どうしていきたいかとか、何が強みなのかとか情報を整理して本質(コア)となる部分に到達するための手伝いをするのがお仕事だそうです。コアを見つけてコンセプト設定し、ブレない強いデザインを作る。
プロジェクトの方向性から、経営者の方と対談しながら定めていくディレクション。それはもう、本当にすごい目に見えない能力を使うお仕事だとしか思えません。だからこそ感性が必要なんですね。人や企業と対峙した時に、いかに本質にたどり着けるか。佐藤可士和さんの著書からも何を大事にされているか読み取れます。参考に、著書の題名をあげると
・『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞社)
・『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)
・『聞き上手話し上手』(集英社)ほか多数。
いかに佐藤可士和さんが仕事において、会話や対話の中で言葉やアイデアを引き出す力やそれを整理していく力、ディスカッション能力、を大事にされているかがわかりますね。
・本質にたどりつく力(無関係な枝葉をそぎ落とし、ひたすら突きつめる)
・物事を引き出す力(ディスカッション能力、コミュニケーションセンス)
・物事を整理し方向付ける力(ブランディング、コンサル能力)
佐藤可士和・SAMURAIが採用で重視するポイント

佐藤可士和・SAMURAI の求める人材のポイント
画期的な発想法や造形的な実力は、入社後に実務を行いながらでも学んでいけます。しかしそれ以前の部分で波長が合わないと、僕の話も、求められていることも理解できない可能性がある。それがいちばん困ります。
引用:advertimes
とのこと、そこで、佐藤可士和・SAMURAIが重視する、人間性の土台をまとめてみました。
コミュニケーションセンス(能力ではなくセンス)があるか
筋金入りの几帳面さがあるか
空気や人の気持ちを察することができるか
繊細な配慮ができるか
気配りができるか
(自分ができていないと気づいて変えていける人はまだ望みがある)
プレゼン能力があるか
自分の作品をSAMURAI用にピックアップして編集して、きちんと体裁整えて作っているようなものを用意する人であれば、それはかなり「できる」人ですよね。
引用:サイボウズ
作品の中身も重要とのことですが、それをどう見せれるかというプレゼンテーションスキルを見ているようです。
相手のことを理解した上で、プレゼンに使う作品を選び、その見せ方も考える、相手のことを理解することができているか、ということですね。佐藤可士和さんのSAMURAIをクライアントと見立てるとよくわかるかと思います。クライアント(SAMURAI)のブランド(ポリシー)をよく理解し自分を売り込む。
自分が採用されたいと思ったら、最善の努力をしますよね。採用の際に持ってきたポートフォリオをみて、あなたの仕事に対する姿勢や本気度、そしてSAMURAIのことをどう理解しているかというところを見ていると思います。自分のエゴなのか、目的(採用)に対して何が必要か見極めれているかということなど。深いですね…。
気遣いやコミュニケーションセンスがあるか
ポートフォリオを僕らの前に出しただけでわかるんですよ。傷だらけでボロボロのポートフォリオを逆さまに出すような人だと、はい、もういいですと(笑)。
引用:サイボウズ
クライアントに提出する資料のことを考えるとわかると思います。
ボロボロのものを出しますか?相手が何を思うか、先に気づくことができているか、相手のことを大事にできているかを見ているのだと思います。
ポートフォリオ一つとっても、それをみて誠意があるかどうか、繊細な感覚をもっているかどうか、仕事に対する姿勢や、気遣いができる人かどうか、相手があることを理解できている人かどうか、という人間性を見ることができるのでしょう。
相手の思うことを察する繊細な配慮ができる人か
また、ポートフォリオ本体だけでなく、その出し方、見せ方にも感性や人柄を見ているようです。
例えば、出す際の仕草。相手に見せる時に相手の側に合わせて出しているか、など。細かいけれど大事な感性。そんな細やかさがないとSAMURAIには合わず、オフィスにいることすらしんどくなりそうな気もしますね。クリエイティブの形は色々だと思いますが、社風が合うかどうか、大事ですね。
それは学生の行動を見てもすぐにわかります。面接がはじまり、簡単な自己紹介をしてポートフォリオを取りだす。そこまでの流れだけで、サムライがデザイナーに求めている資質がその人に備わっているかどうか、半分くらいはわかるんです。
少し話はそれますが、インタビューを色々みていくとSAMURAIというネーミングがほんとに佐藤可士和さんの仕事をぴったり表現しているなと改めて思わされます。日本の「おもてなし」的な察する力や汲み取る力、場や空気を読む力、細やかさ。「THE、JAPAN」といった感じですよね。その中でも侍は研ぎ澄まされた五感、察知力、リスク管理、切れ味のよさなどもイメージにもありますしね。ブランドイメージと仕事の持ち味がぴったり!!佐藤可士和さんすごいです。
感じる力・察知する力があるか、波長が合うか
糟谷義人さん(以下、糟谷):インターン研修として毎年だいたい20名くらいに会って、最低1日は、オフィスにいてもらうようにするんですよ。そのときにやはり、いろいろなことに気づいてくれるかどうかですね。あとはもちろん、作品も見ます。
引用:サイボウズ
インターン研修の時最低位1日はオフィスにいてもらうそうですが、その際にいろいろなことに気づいてくれるかも重要とのこと。
SAMURAIのオフィスはかなり独特。オフィスにあるもの全てが計算されていて、デザインの仕事をする際、本質を捉えることができるようにと余計なものを排除してあるそうです。ただなんとなくそこにあるのではない。全ての配置と選択に意味がある。そういう空間かと思われます。なので1日そこにいる間にどれだけ意図が読めるか、気付けるか、などは感性を見る点として重視されているかと思います。
またそこでの所作やものの扱い方などでSAMURAIの波長に合うかも見ていると思います。
ごちゃごちゃしてる方が仕事が捗るという人も世の中にはいますよね。
感性はいろいろですが、佐藤可士和さんはあくまでも自分のオフィスSAMURAIに合う人を求めています。そこが肝ですね。佐藤可士和さんにかなりの嗅覚があると思われるので、そこは繕ったり偽ったりは無理ですね。
野:うちのデザイナーには、私物とかで机を埋めて、秘密基地のような空間作ってるタイプもいます。事務所にはそういう秩序を乱すような人はいないんですか?
引用:RICOH
可:いない。そういう人は採用しないし。(笑)
野:わかるものですか?
可:パッと見たくらいではわからないけど、それでもわかりますね。
佐藤可士和・SAMURAIがデザイナーに求める素質とは?
作品はもちろんですが、やはり共通して言えるのが「感性」ということでしょう。感性といっても様々ですが、ここで言われている感性は、一ミリの違いにも気づくことができるような精細な感性。見えないものを感じられる感性、見過ごされてしまっているような違和感や面白さに気付ける感性、そういったものではないかとインタビューから読み取れます。見えている世界(色や表情、形)や見えないもの(人の心や受け取る感情や感覚、思い、本音)、音や匂い、硬さや柔らかさ、質感、感覚って様々なものがありますよね。佐藤可士和さんのいう解像度が高い人というのは、そういったいろいろなものから感じることができ、それを仕事、クリエイティブに落とし込めたり活かせる人ではないかと思います。
可士和:そうです。結局デザイン力ってそういうことなんですよ。要するに「感性の解像度」が高いかどうかということ。デザインソフトの操作方法なんて、使っていればいつかは覚えられる。それよりも「見えて」いるか、感じられるかどうか。その解像度が低い人は、SAMURAIでは厳しいと思う。その解像度は僕の基準に合わせているから、ある意味高い水準を要求しているかもしれません。
引用:サイボウズ
クリエイティブの仕事は、一般の人が踏み込まない“感覚の領域”をフィールドにするものです。誰もが見過ごしているものごとに自分だけが気づくくらいの几帳面な人と、一緒に仕事をしたいですね。(2011年)
引用元:宣伝会議
まとめ

いかがでしたか、インタビュー内容の年代は様々ですが、佐藤可士和さんのインタビューをまとめて、SAMURAIの採用の時見る点や、求める人物像を掘り下げてみました。
SAMURAIというブランドに憧れている方はすでにSAMURAIのデザインなり仕事の仕方なり、佐藤可士和さんの人物像やアートワークに惹かれていたりと、共通点は色々あるかと思いますが、一つが共通するからといって安易にSAMURAIで働きたいと思っても難しそうですね。かなりの精度でSAMURAIに馴染める人でないとSAMURAIでは働けなそうです。
でも、佐藤可士和さんの求める人物像には、違う業界であっても仕事で成果を出している、成功者、できる人たちに共通する要素がたくさんなので、自分がSAMURAIに入りたいと思うと思わまいと、佐藤可士和さんの求める人物に近づく努力をしたらかなりいい仕事ができるのではないかと思いました。
ストイックで合理的で、人のことを思えて、気遣いができて繊細な感性を持っている人でデザインが得意で自己管理できて、自己も環境も前向きにアップデートしていけ、物事の本質に面白みを持てる人。一言えば十伝わる、一つの本質を他の物事にも当てはめれる、そんな人物像が思い浮かびました。
参考
https://webtan.impress.co.jp/e/2015/09/04/20412
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/photo-life/grist/grist049.html
https://teamwork.cybozu.co.jp/blog/samurai.html
https://www.advertimes.com/20120126/article51782/
https://hikoma.net/interview/in_kashiwasato/
https://www.pen-online.jp/feature/design/kashiwasato_creation_1/1
https://9jin-note.jp/topics/item.cgi?Id=8
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